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【第2回】フュージョンエネルギー(核融合)拠点戦略構想は誰のもの?

  • 執筆者の写真: 構想しもきた
    構想しもきた
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

 去る3月、青森県の宮下知事は「青森県フュージョンエネルギー拠点形成戦略」を発表しました。フュージョンエネルギーとは核融合を意味し、現在六ケ所村のむつ小川原開発地区で国際プロジェクトとしてITER(イーター)計画(核融合実験炉)が進められています。核融合は高市政権が打ち出した17の成長産業分野の一つにもなっていて、その拠点を全国に先駆けて青森が誘致しようとする気概は、エネルギー立県としての青森に相応しい戦略として大いに評価でき、今後の行く末に注目し期待したいものです。

 ※政府が発表した2040年度までの17の成長産業分野への投資額は370兆円(国と民間合わ

  せて)、うち核融合には3.1兆円を官民投資

 このフュージョンエネルギー拠点形成戦略は、慶応義塾大学のフュージョンエネルギー研究センターとの共同研究で進められ、核融合の原型炉の誘致を図り2030年代に発電の実証をめざすというもので、青森県や下北半島地域にとってまさに夢のプロジェクトと言えます。

 戦略の狙いは、核融合に関連する県内企業を育成して産業集積を創出し、新たな雇用をつくろうとするところにあるようです。戦略の具体化は今後、青森県と慶応義塾大学、そして有識者や県民代表が参画して県経済への波及効果やロードマップを検討していく予定になっていますが、注意しなければならないことは、この戦略が一体、誰のものなのか、その最大の成果は誰にもたらされるのか、下北地域の発展に結びつくのだろうか、ということです。

 国の政策に協力しエネルギー安全保障に貢献することは青森県にとって自負すべきことですが、技術者や研究者のためだけの開発研究に終始し帰結してはならないことです。共同研究のパートナーに研究開発のフィールドや施設などを提供するだけでは、青森県にとって戦略を誘致する意義は小さなものになってしまいます。政府の成長戦略に沿ったプロジェクトですから国の財政支援が得られるでしょうから、その分野の技術者や研究者にとって自分の研究成果を得るには大きな利点があるでしょう。国家利益として一面でそれは良しとしますが、青森県にとって一番大切なことは、フュージョンエネルギーの拠点を青森の固有の地域資源であることを、県民や下北の人たち、また県内企業が十分に理解・認識し、技術者や研究者とともに伴走し地域の発展に寄与する戦略に仕立てあげていくことです。そうした環境を整えるためには、戦略プロジェクトの普及啓発や学習がきわめて大事です。説明会やシンポジウム・セミナー・見学会など県民や企業が学ぶ機会を積極的につくることや民間発意による推進団体の結成などを通じてフュージョンエネルギーを受け入れる気運を醸成することが必要ではないでしょうか。“私たちには関係ない、国や学者が進めていることだ”と他人任せになっては、せっかくの好機を逃すことになります。

 去る7月2日に青森市内で、青森県主催のもとフュージョンエネルギー報告会が開かれました。内閣府参事官や量子科学技術研究開発機構の幹部が六ケ所村で進められているITER計画の進捗と今後のフュージョンエネルギー政策について講演し、情報発信したことは評価できることです。こうした報告会や広報を、国や県が関係者にとどまらず広く一般県民や産業界に浸透できるように積極的に活動していくことが求められます。

 未来に夢のある国家的なプロジェクトを絵に描いた餅に終わらせず実現に導くためには、県民や産業界の認識を高め、いかに青森の大地に落とし込んで浸透させていくかが鍵となると考えます。

 

(了)


 

 
 
 

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